遺産分割協議
遺産分割協議とは
相続人が複数いる場合、相続が開始すると同時に被相続人(亡くなった方)が所有していた財産は相続財産となり、共同相続人全員の共有財産となります。この共有財産につき誰がどの財産を相続するかを具体的に決めるための話し合いが、遺産分割協議です。
相続においては、この遺産分割協議を円滑に進め、相続人全員が納得できる内容で成立させることが最も重要なポイントです。
遺産分割協議が成立しないデメリット
相続人間に感情的な争いが生じて遺産分割協議が成立しないことは珍しくありません。
しかし、遺産分割協議が成立しないことにより,様々なデメリットが生じます。
デメリット
- 預貯金の解約、名義変更ができず、現金化することができない。
- 不動産の名義変更(相続登記)ができず、売却・担保設定等ができない。
- 相続税の特例措置(配偶者の相続税額軽減・小規模宅地の特例措置)が受けられず、払わなくて済む税金を納付しなければならない。
- 相続人間での協議分割がまとまらず、家庭裁判所での調停・審判を利用する場合には、多額の弁護士費用がかかる場合が多い。
- 遺産分割協議で争うことにより、親族間に修復不能な感情的な亀裂が生じる。
これらのように遺産分割で争いが生じ、協議がまとまらなければ、金銭的にも感情的にも深刻で重大な損害が生じることになってしまいます。
遺産分割協議が成立しづらい原因
遺産分割協議で争う原因で多いのが、「寄与分の評価」と「特別受益の有無」についてです。
寄与分の評価は高くない
被相続人の長女や長男の嫁などの特定の方が、被相続人の看護に特別の貢献をしていたというのは、よくあるケースです。この場合、貢献した方は自分の寄与分(特別に貢献したことにより他の相続人より多く相続する割合)を高く見積り主張しますが、他の相続人が認めないことにより争いが生じるのです。
相続人間の協議分割がまとまらず、調停も不調に終われば、家庭裁判所で審判を受けることになります。
しかし、親の財産形成に不可欠な貢献をしていたなどの特別の場合を除き、親の介護程度の貢献では、審判において寄与分はあまり高くは評価されないケースが大多数です。なぜなら、親の介護をするのは子の責務と見なされるからです。
また、寄与分は相続人についてのみ認められているので、元々相続人ではない長男の嫁には相続分も寄与分もありません。このあたりは、一般の感覚と法律上の取り扱いが相違している部分ですので、注意が必要です。
特別受益を主張するには明確な証拠が必要
被相続人の生前に、特別の財産をもらうことを特別受益といいます。
相続人の中に、特別受益(住宅取得資金、事業資金、結婚資金、特別の学費)を受けていた者がいた場合に、他の相続人がその特別受益分を含めて遺産分割協議しようと主張するのもよくあるケースです。この場合、特別受益を受けていた相続人が、受益分を否定することにより争いが生じます。
特別受益は、親子間で行われる場合がほとんどですが、親子であるがゆえに現金で授受されることが多く、書面などが交わされることは稀です。正確な金額なども当事者である親子間しか知らない場合も多く、特別受益の存在を主張する他の相続人も「生前あいつは親からいくらいくらもらったはずだ」とあいまいな主張をするケースがよくみられます。
最終的に審判になった場合には、特別受益を受けたことが事実であったしても、受けた本人が否定し、金融機関の振込履歴や受領を裏付ける書面などの明確な証拠がない限り、原則として、特別受益はなかったものと判断されます。審判の場では、事実より証拠が重要であるともいえるのです。これも、一般の感覚と法律上の現実とが相違している部分ですので、注意してください。
法の力に頼っても、最後は法律どおりの結果に終わる
遺産分割で争いになり、感情的になった結果、家庭裁判所の調停・審判に至るケースも増えてきています。
しかし、上記のとおり寄与分は高く評価されず、特別受益の存在を主張するには明確な証拠が必要です。結局、法の力に頼ると、最後は法律どおり(法定相続分)に決まり、そこに各自の寄与や受益を考慮して若干の調整(5~10%の差)がなされる結論になることがほとんどです。
つまり、長い時間と多額の弁護士費用をかけて、法定相続分とさほどかわらない分割内容となり、修復不能な感情的な亀裂だけが残ることになるのです。
遺産分割協議を成立させるポイント
- 相続人調査による相続人及び法定相続分の確定
- 詳細な相続財産調査による相続財産の把握、財産目録の作成
- 寄与分・特別受益がある場合は、その適正な評価
- 法定相続分、相続財産の内容・性質、(寄与分・特別受益の評価)を考慮に入れた公平な遺産分割案を作成し、それをもとに協議を進める。
遺産分割協議を成功させるには、上記のポイントを、手順を追って確実に進めて行くことが重要です。
しかしながら、相続人のみでは、なかなかうまくゆかないものです。
大阪・相続遺言相談パートナーでは、相続手続トータルサポートプランをご利用いただくことにより、遺産分割協議を成功へと導く体制整備から各種名義変更までをトータルでサポートいたします。
たとえば、分割協議がまとまらないよくある原因の一つが、特定の相続人が被相続人の相続財産を管理していて明らかにせず、相続財産の全容がわからないという場合があります。
この場合、他の相続人が調査するのは、大変困難です。
しかし、私たち専門家には、相続財産調査に関するノウハウと方法がありますので、可能な限り相続財産を明らかにし、財産目録を作成することができます。
遺産分割協議をスムーズに進めて、笑顔で相続手続きを終えたい、そんな方は大阪・相続遺言相談パートナーの無料相談・相続サポートをご利用ください。