どうして財産調査が必要なのか
相続の方法を決めるときや遺産分割協議、相続税の計算には、相続財産の内容を正確に把握しておく必要があります。
遺産分割協議で相続人間に争いが生じるケースでは、相続財産の調査や評価を正確に行わずに協議を開始したことが原因となっている場合も少なくありません。
預貯金や有価証券ならその評価をすることは容易ですが、不動産の評価等には専門的な知識が必要とされることが多々あります。
不動産を正確に評価してみると相続人が思っていた評価とは大きな隔たりがあることも珍しくないのです。
各相続人が正確に調査することなく不動産を過大もしくは過少に評価してしまっていることが、遺産分割協議がまとまらないことの原因となる場合が少なくないことに注意して下さい。
相続財産の中には土地・家屋や株式・投資信託といった金融資産などのプラスの財産だけではなく、住宅ローンなどの借金や保証債務、滞納している税金、損害賠償責任などのマイナスの財産(負債)も含まれます。
調査によって負債がプラス財産より多いことが判明した場合には、相続放棄や限定承認をすることも考えられ、相続の方法を検討する必要があります。
相続放棄などは、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に行わなければならないため、期限が過ぎないよう注意が必要です。
また、別な財産が後日発見されたことによって遺産分割をやり直したり、相続税の申告漏れがあったりといったことがないよう、迅速かつ的確な相続財産の調査が必要になります。
故人が、生前に財産目録を作っている場合や、遺言などで財産を特定してくれている場合は調査もスムーズにできますが、そうでないケースのほうがむしろ多く、また、故人の財産を生前から管理していた相続人が財産の内容を明かしてくれないケースもあります。
個々の財産については、民法上では相続財産に含まれないものもあり、一般的に誤解されているものも多くあります。ここでは各種の財産についての具体的な調査方法や取り扱い及びその注意点を逐次挙げて行こうと思います。