遺産総額の大小に関係なく、調停事案が増加
遺産分割は、家族背景や生活史によっては、法律とは関係ない当事者の感情が入り込んで解決に大きく影響します。
話し合いがまとまらないと、家庭裁判所での調停や審判に発展していきます。こうなると解決が長期化し、予想外の時間、労力、費用がかかってしまいます。
遺産分割の調停や審判は、なにも富裕層に限った問題ではありません。現在の不安定な経済情勢からか、遺産総額が1000万円以下の相続でも紛争に発展するケースが増加しています。
生前、親の介護は長兄夫婦にまかせっきりで、相続分だけは平等に主張してくるワガママな相続人
R.戦前の家督相続の名残と、今時の相続に対する概念が混ざり合うことが解決の妨げになることがあります。
高圧的な態度で長兄が遺産分割を強引にまとめようとする
R. これも戦前の家督相続の名残がある旧家や、封建的な土地柄の家庭ではありがちな問題です。
生前に故人から受けた援助や恩恵を忘れ、他の相続人に自分の貢献度をやたらと誇張する相続人
R. 寄与分については、当事者の話し合いはもちろん、審判においても認められにくい問題です。
家族の歴史を知らない相続人の配偶者等が割り込むと、なおさら慎みが欠けて話がこじれやすくなります。
過去の相続時に恨みを抱いている相続人
R. 先の相続の際に不本意な遺産分割を強いられた方などは、譲歩・妥協せずに態度を硬化すことがあります。
故人の預金通帳などを生前から管理していた相続人が、資産状況を明かしてくれない
R. 一部の相続人が公私混同して私的流用しているケースも少なくありません。
一旦疑心暗鬼が生じると冷静な判断ができなくなります。
この他にもいろいろな原因が考えられます。
こういった相続トラブルを避けるためにも、遺言書の作成や生前に財産目録を作っておくなど、何らかの形で家族へのメッセージを残しておくことが諍いを回避する最善策です。
最近の遺言を含めた終活ブームも、こういったことが広く周知され、尚且つ、自分の財産の行く末は自分で決めるという意識が浸透してきたからではないでしょうか。